淡路島の短歌(うた)
その1
ふるさと淡路島(あわじ)の祭の宵に若い衆(しゅ)が汗流しつつ浄瑠璃唸(うな)る

  • 掲載紙 毎日新聞 「やまと歌壇」
  • 掲載日 令和4年4月14日
  • 選者  横山 季由

その2
乳草を見つくるたびに思ひ出す昔飼ひゐし兎のことを

  • 掲載紙 奈良新聞 「奈良歌壇」
  • 掲載日 令和4年5月3日
  • 選者  居谷 真理子

その3
進水の舟から陸(おか)へ餅まきし村人集ひ華やぎ祝ふ
※淡路島の風景・生活を詠んだ短歌が少し溜まって参りましたので「淡路島の短歌(うた)」として毎回一首連続して投稿いたします。今回の短歌は小さい漁港での漁師舟の進水式の様子です。私の生まれ育った西浦・明神の港です。

  • 掲載紙 奈良新聞 「奈良歌壇」
  • 掲載日 令和4年5月24日
  • 選者  小西 栄依子

その4
うなさかを深紅に染めて果つる陽をじっと観てゐた十五の早春
※西浦にお住みの方は太陽が西の海に沈んでゆく一瞬をじっと見つめた経験がおありでしょう。いつかこの光景を詠んでみたいと思っておりました。(うなさか 海の境)

  • 掲載紙 奈良新聞 「奈良歌壇」
  • 掲載日 平成30年3月18日

その5
明石鳴門紀淡三海峡に抱かれてふるさと淡路はいまし暮れゆく
※海峡、このロマンチックなことば。淡路島はロマンチックな海峡三つにゆったり抱かれ,今まさにゆうまぐれ。そんな中を津名高生が自転車で肩を振り振り帰ってゆきます。 ゆうまぐれ(夕間暮れ)

  • 掲載紙 毎日新聞  「やまと歌壇」
  • 掲載日 令和元年7月25日

その6
バス停に座りて居れば空高く鳶舞うなり志筑の海辺
※母校での会議の帰りバスセンターの外のベンチへ座っていると毎回のように湾の上からヒュウウヒョロロと鳶の鳴き声が聞こえて来ました。大空を舞う姿を見上げてとても癒されました。
 一方、今年の奈良巡りの折の話題に津名高生がグランドで背後から迫った鳶にお菓子を奪われたの話が。
 もし同じ鳶なら短歌で注意をしなければ(笑)

  • 掲載紙 奈良新聞 「歌壇」
  • 掲載日 平成31年1月22日

その7
台風も子供心に嬉しくて大波寄する浜を駆けたり
※西浦の海は瀬戸内海の一部ですから、台風といっても命に危険が及ぶような高波は来ません。その為腕白坊主が適度の興奮を感じつつ浜辺を走り回りました。

  • 掲載紙 奈良新聞 「歌壇」
  • 掲載日 平成29年10月11日

その8
ふる里の同窓会のジャズライブ流れるバラードセピアなひと刻
※「同窓会を楽しくするには」について議論を交わした帰りの高速バスでのこと。丁度明石大橋を走っていたバスの車窓から明石の灯りをながめていた。そのとき娘の親友のジャズピアニストが明石在住だった事が浮かんだ。「志筑でのジャズライブ構想」はこの瞬間から始まった。

  • 掲載紙 奈良新聞 「歌壇」
  • 掲載日 平成29年9月11日

その9
南国土佐がお隣さんから聞こえて来た窓もあいてたおおらかだった
※家家から、漁船から流行歌が大きな声で聞こえて来た。「南国土佐を後にして」もそうだった。毎日新聞に投稿して最初にとっていただいた思い出の短歌です。

  • 掲載紙 毎日新聞 「やまと歌壇」
  • 掲載日 平成30年12月6日

その10
夜の海日照りがなくて心地よしぬるき温泉に浸るが如し
※家から海まで徒歩二分。夏には夜の海へよく泳ぎに行きました。海に浮かんで沖を行くフェリー等を見ているとうっとりして来ました。

  • 掲載紙 奈良新聞 「歌壇」
  • 掲載日 令和2年9月22日

その11
秋祭りに激しく使う檀尻に我も乗りけり幼き頃に

  • 掲載紙 毎日新聞 「やまと歌壇」
  • 掲載日 令和4年10月13日

その12
瀬戸内と大阪湾が見渡せる淡路島(しま)の北端花さじきの丘

その13
年末に村の子達と連れ立ちて正月飾りの裏白採りき
※年末になればいつも思い出します。 

  • 掲載紙 毎日新聞 「やまと歌壇」
  • 掲載日 令和4年12月15日

その14
寺に籠り受験勉強共にせし友逝きたるとふ年明くる頃

その15
水鳥の群れから離れかいつぶり潜っては浮く寒風の池
※小学校への通学途上、池でかいつぶりをよく見ました。
懐かしい光景です。

その16
玉筋魚の舟が寄港しややたちて釘煮の匂ひ浜に満ちけり
※天日干ししている玉筋魚が昼飯替わりになりました。

その17
昨日の集ひで安否が話題にと故郷の友ゆ電話掛かりき
※友はあり難きかな。

  • 掲載紙 奈良新聞 奈良歌壇
  • 掲載日 令和5年3月28日

その18
鰆(さわら)船の帰港の音する夜明け前今朝は大漁かとひと時ときめく
※漁師の村で育ちました。当時は鰆は高級魚で数本あげれば大喜び。大漁旗で帰って参ります。

  • 掲載紙 毎日新聞 やまと歌壇
  • 掲載日 令和5年5月11日

その19
小学校対抗相撲で土俵外へ投げ飛ばされた苦き思ひ出
※遠くに帰ってゆく親父の後ろ姿が見えたなあ。(観にゆくとは言っていなかったが)

  • 掲載紙 奈良新聞 奈良歌壇
  • 掲載日 令和5年6月27日   

その20
百三歳の母を施設に吾が見舞い小学校校歌を共に歌いぬ

  • 掲載紙 毎日新聞奈良版 やまと歌壇
  • 掲載日 令和5年7月6日