志筑高等女学校5回生 奥村幸子
令和5年(2023)年5月 記
皆様こんにちは。淡路市中田在住の奥村幸子と申します。今年97歳になりました。
私は長年俳句づくりに親しんで参りましたところ、令和4年度に思いも寄らず淡路文化協会より「文化功労賞」をいただきました。身に余る光栄で、これを機に、これまでの俳句のご縁を継いでくださった諸先生方をはじめ、共に学んだ多くの句友の皆様に感謝のこころを表したいと思い、句集『龍の玉』を編み出版致しました。そして市長様はじめ多くの方々のご厚意により、島内各図書館の蔵書に加えて頂くこととなりました。拙著ではございますが、お手にとって頂く機会がございましたら幸いと存じます。
俳句との出会いは、昭和35年に中田小学校で地域の皆様の集まりがあった際に、教頭(森岡花雷)先生から俳句のお勧めを頂いたのが切っ掛けです。
その年に会員15名の「寒菊会」が発足しました。翌年、五十嵐晩翠先生ご一門が来島くださった折にはじめて句会を経験したのがきっかけで、「九年母」にも入会しました。
それまでは戦後の復興期で、懸命に働くばかりの何の楽しみもない時代でした。俳句をはじめて、それまで気付かなかった四季折々の変化を注意して見るようになりました。およそ60年、そのようにして詠んだ句は2200句あまりで、書き留めた「折手本」は24巻にもなっていました。そこから253句を選び、編集するのは途方もない作業でしたが、幸いにも同じ津名高校の後輩にあたるお二人の方がご助力くださって形となりました。心より感謝しております。
表題の“龍の玉”をご存知ですか?“龍のひげ”という植物は、冬になるとつぶらな紺色の実をつけます。小さな玉ですが背丈ほどに跳ねるのが面白く、子どもの頃それを見つけてはよく遊んだものでした。老いても籠もらず、龍の玉が跳ねるように元気に過ごしたいとの願いを込めて表題としました。
~ はるばると来て打水の門に入る ~
~ 秋風や余勢の向きを替えてみる ~
~ 残る世をつましく生きむ龍の玉 ~
俳句は生きる支えです。これからも続けて参りたいと思っております。